自立支援医療とは、心身に障害を持った方が申請することにより医療費の負担を減らせる制度です。自立支援医療は、更生医療・育成医療・精神通院医療の三種類に分かれます。更生医療・育成医療は身体障害者・障害児向け、精神通院医療は精神疾患用の制度です。この記事では精神通院医療についてご紹介します。
目次
・精神通院医療とは
・対象者
・給付内容
・申請の流れ
・必要な書類
・まとめ
精神通院医療とは
精神通院医療とは、通院を続ける必要がある精神障害を持つ方の医療費の自己負担額を軽減する制度です。
対象者
対象者は次の疾病により通院している方です。
統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病など)、精神作用物質(薬物など)による急性中毒又は依存症、ストレス関連障害(PTSDなど)、不安障害(パニック障害など)、知的障害、心理的発達の障害、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、てんかんなど
給付内容
給付内容は次の通りです。
指定医療機関で受診すると自己負担は1割になります。世帯の収入によって自己負担上限額が異なります。
〇自己負担上限月額
・生活保護世帯 0円
・市町村民税非課税世帯 「重度かつ継続」に該当しない 「重度かつ継続」
(本人の収入80万円以下) 2500円 2500円
・市町村民税非課税世帯 「重度かつ継続」に該当しない 「重度かつ継続」
(本人の収入80万円超) 5000円 5000円
・市町村民税課税世帯 「重度かつ継続」に該当しない 「重度かつ継続」
(市町村民税3万3千円未満) 医療保険の高額療養費と同じ 5000円
・市町村民税課税世帯 「重度かつ継続」に該当しない 「重度かつ継続」
(市町村民税3万3千~23万5千円未満) 医療保険の高額療養費と同じ 1万円
・市町村民税課税世帯 「重度かつ継続」に該当しない 「重度かつ継続」
(市町村民税23万5千円以上) 対象外 2万円(2027年3月末まで)
「重度かつ継続」とは、長期の治療と高額の医療費負担がある状態のことです。具体的には次のいずれかに該当する人が対象です。
・統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害、気分障害(うつ病、躁うつ病など)、症状性を含む器質性精
神障害(高次脳機能障害、認知障害など)、てんかん、精神作用物質使用による精神及び行動の障害(薬物、
アルコール依存症など)
・医療保険の多数回該当
・3年以上精神医療の経験がある医師から情動と行動の障害または不安・不穏状態であるので、入院しないで
計画的な精神医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む)が続けて必要であると判断した人
申請の流れ
申請の流れは次の通りです。
1.市区町村で相談、書類の入手します。
↓
2.意見書の作成依頼
指定自立支援医療機関に「自立支援医療診断書」の作成を依頼します。
↓
3.申請
必要な書類を揃えて市区町村の窓口に提出します。
↓
4.「医療受給者証」と「自己負担上限額管理表」が交付されます。
↓
5.受診
指定自立支援医療機関で「医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」を提示して受診します。
「医療受給者証」の有効期間は1年です。(1年ごとに更新が必要です)
申請から「医療受給者証」、「自己負担上限額管理票」の交付まで約2~3か月かかります。
必要な書類
必要な書類は次の通りです。
・自立支援医療費支給認定申請書
・自立支援医療診断書
・被保険者証の写し(同一保険に係る全員分)
・個人番号に係る調書(本人確認書類)
・世帯全員分の住民税(非)課税証明書などの課税状況を確認できる書類
自立支援医療診断書には次の例外事項があります。
・精神障害者保健福祉手帳と同時申請する場合、手帳用の診断書1枚を申請するだけでよいです。
・診断書によって交付された精神障害者保健福祉手帳を所持している場合、手帳の写しを診断書の代わりに提
出できます。
・「高額治療継続者(重度かつ継続)」として申請する場合、診断書とは別に意見書の提出が必要です。
まとめ
精神通院医療についてご紹介してきました。精神通院医療を含め自立支援医療の制度を活用することで、医療費の負担を減らしていきましょう。