病気や事故で障害を負った方の中には、自分が受けられる公的サービスはあるだろうかと疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。そうした疑問や不安に応える制度の一つが障害福祉サービスです。この記事では障害福祉サービスの一つである行動援護についてご紹介します。
目次
・行動援護とは
・対象となる人
・サービス内容
・利用者負担
・申請の流れ
・まとめ
行動援護とは
行動援護とは、知的障害や精神障害により著しく行動が困難な人に行動に伴う危険の回避、外出時の移動支援を行うサービスです。
対象となる人
対象となる人は次のいずれかの要件に該当する人です。
・知的障害、精神障害のある人で障害支援区分が3以上
・障害支援区分の認定調査項目のうち、行動関連項目の合計点数が10点以上の人
・18歳未満は小学生以上
障害支援区分とは、障害の特性、心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを示したものです。区分は1~6の6段階に分かれています。区分によって受けられるサービスが異なります
サービス内容
サービス内容は次の通りです。
・予防的対応:対象となる人が問題行動を起こさないように事前に不安を取り除く。
・制御的対応:対象となる人が問題行動を起こしたときに対処する。
利用者負担
利用者負担は次の通りです。
〇原則:費用の1割負担、食費、光熱費など実費は利用者負担です。
〇利用者負担は1か月あたり上限額が設定されています。上限額を超えた利用者負担はありません。上限額は世帯の収入状況で決まります。
・世帯の考え方
a18歳以上の障害者の場合(施設に入所する18歳、19歳を除く):障害者本人と配偶者
b18歳未満の障害児の場合(施設に入所する18歳、19歳を含む):保護者の属する世帯
〇障害者の利用負担の上限
区分 世帯の収入状況 負担の上限額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得⋆1 市町村民税非課税世帯 0円
一般1⋆2 市町村民税課税世帯 9300円
一般2 上記以外 37200円
⋆1 3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象
⋆2 所得割16万円未満、収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。20歳以上の入所施設利用者、グル
ープホーム利用者は一般2に該当します。
〇障害児の利用者負担の上限
区分 世帯の収入状況 負担の上限額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1⋆1 市町村民税課税世帯
通所施設、ホームヘルプ利用の場合 4600円
入所施設利用の場合 9300円
一般2 上記以外 37200円
⋆1 所得割28万円未満、収入が概ね890万円以下の世帯が対象になります。
〇その他にも軽減措置があります。
例
・高額障害福祉サービス等給付費
上記の他に同一世帯に障害福祉サービス利用者が複数人いたり、障害福祉サービスや介護保険サービスなどを複数利用している場合に、1か月の利用者負担額を軽減します。
・補足給付費
施設入所者に対して食費、光熱水費の負担軽減、グループホームの家賃補助などを軽減します。
申請の流れ
申請の流れは次の通りです。
1・市区町村の障害福祉担当窓口に申請します。
「サービス等利用計画案提出依頼書」が交付されます。
↓
2.サービス等利用計画案の作成依頼
相談支援事業所に「サービス等利用計画案」の作成を依頼します。その後、相談支援専門員が自宅に訪問
します。この時「サービス等利用計画案提出依頼書」を手渡します。
↓
3.障害支援区分認定調査
市区町村のの認定調査員が自宅を訪問し、日常生活、就労、障害の状態、介護者の状況などを調査しま
す。
↓
4.一次判定(市区町村)
上記3の調査結果をもとにコンピュータで判定します。
↓
5.二次判定(市区町村の障害支援区分認定調査会)
↓
6.障害支援区分の認定
障害支援区分に該当、非該当が決まります。該当者には市区町村から「区分認定通知」が送付されます。
↓
7.サービス等利用計画案の作成
認定結果をもとに相談支援専門員が「サービス等利用計画案」を作成し、申請者の了承を得た後、市区町
村に提出します。
↓
8.支給決定
市区町村は障害支援区分、上記7の計画案をもとに支給するか否かを決定します。支給決定の場合は「受
給者証」を送付します。
↓
9.サービス担当者会議
相談支援事業所で担当会議が開かれ「サービス等利用計画」を作成し、申請者の了承を得た後、市区町村
に提出します。
↓
10.サービスの利用を開始
サービス提供事業者と契約を結び、サービス利用開始となります。
まとめ
行動援護についてご紹介してきました。この記事は概要をお伝えしているので、利用をご検討されている方はお住いの市区町村の担当窓口で詳細をお問い合わせください。