生活福祉資金は、融資の受けられない低所得世帯、障害者のいる世帯、高齢者世帯の経済的自立と安定に役立てるための、無利子または低利子の公的貸付制度です。市区町村の社会福祉協議会が窓口になっています。この記事では生活福祉資金の一つである福祉資金について説明します。
目次
・福祉資金とは
・対象となる世帯
・貸付条件
・福祉資金の種類
・申請の流れ
・必要な書類
・まとめ
福祉資金とは
福祉資金とは、日常生活や自立した生活を送るために一時的に必要と見込まれる資金のことです。福祉資金には福祉費と緊急小口資金の2種類があります。
対象となる世帯
対象となる世帯は次の要件に該当する世帯です。
・低所得世帯
世帯の所得が市町村民税非課税程度もしくは生活保護基準のおおむね1.7倍以下。詳細はお住いの社会福祉協議会にお問い合わせ下さい。
・障害者世帯
障害者手帳の所持、障害福祉サービスを利用しているなどの人がいる世帯
・高齢者世帯
日常生活上療養または介護を要する65歳以上の高齢者がいる世帯
貸付条件
貸付条件は以下の通りです。
〇借受人
世帯主、世帯の中で最も収入が多いもの又は資金を主に使う者
〇連帯借受人
就学の場合は就学する子供が借受人、世帯主(両親など)が連帯借受人になります。あるいは高齢者や収入の少ない人が借受人の場合は連帯借受人が必要です。
〇連帯保証人
原則として連帯保証人は必要ですが、連帯保証人がいなくても貸付は可能です。65歳未満の人が原則になります。ただし、福祉費(技能習得に必要な経費、就職の支度に必要な経費)に連帯保証人は不要です。
福祉資金の種類
福祉資金の種類は2つです。福祉費と緊急小口資金になります。
〇福祉費
・生業を営むために必要な経費(自営業に必要な経費のことです。設備・機械の購入、店舗作業場の補修など)
貸付上限額 460万円 償還期間 20年
・技能習得に必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費
技能を習得する期間
a.6か月程度 貸付上限額 130万円 a~dの償還期間は8年です。
b.1年程度 貸付上限額 220万円
c.2年程度 貸付上限額 400万円
d.3年以内 貸付上限額 580万円
・福祉用具等の購入に必要な経費 貸付上限額 170万円 償還期間 8年
・住宅の増改築、補修等及び公営住宅の譲り受けに必要な経費 貸付上限額 250万円 償還期間 7年
・障害者用自動車の購入に必要な経費 貸付上限額 250万円 償還期間 8年
・中国残留邦人等に係る国民年金保険料の追納に必要な経費 貸付上限額 513.6万円 償還期間 10年
・負傷又は疾病の療養に必要な経費及びその療養期間中の生計
を維持するために必要な経費
療養期間
a.1年以下 貸付上限額 170万円 償還期間 5年
b.1年超から1年6か月以内で世帯の 貸付上限額 230万円
自立に必要な場合
・介護サービス、障害福祉サービス等を受けるのに必要な経費
及びその期間中の生計を維持するために必要な経費
介護サービスを受ける期間
a.1年以内 貸付上限額 170万円 償還期間 5年
b.1年超から1年6か月以内で世帯の 貸付上限額 230万円
自立に必要な場合
・災害を受けたことにより臨時に必要となる経費 貸付上限額 150万円 償還期間 7年
・冠婚葬祭に必要な経費 貸付上限額 50万円 償還期間 3年
・住居の移転等、給排水設備等の設置に必要な経費 貸付上限額 50万円 償還期間 3年
・就職、技能習得等の支度に必要な経費 貸付上限額 50万円 償還期間 3年
・その他日常生活上一時的に必要な経費(年金保険料・健康保険料の未納分、制服、修学旅行の費用など)
貸付上限額 50万円 償還期間 3年
・返済
6か月の据置期間(無利子)が終了後、その翌月から原則月賦、口座引き落としで返済します。連帯保証人がいない場合は年1.5%の利子が付きます。ただし、技能習得に必要な経費、就職の支度に必要な経費を除きます。最終償還期間が過ぎた場合は延滞利子が年3%発生します。
〇緊急小口資金
緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に必要となる少額の費用です。次の要件に該当する必要があります。
・医療費または介護費などの臨時の生活費が必要なとき
・火災等の被災によって生活費が必要なとき
・年金、保険、公的給付等の支給開始までに生活費が必要なとき
・会社から解雇、休業等による収入減のため生活費が必要なとき
・滞納していた税金、国民健康保険料、年金保険料の支払いにより支出が増加したとき
・公共料金の滞納により日常生活に支障が生じるとき
・生活困窮者自立支援法に基づく実施機関及び関係機関からの継続的な支援を受けるために経費が必要なとき
・給与等の盗難によって生活費が必要なとき
・その他緊急性、必要性が高いと認められるとき
貸付内容
a.貸付限度額 10万円以内
b.利子 無利子
c.据置期間 2か月(無利子)
d.返済期間 12か月以内
e.連帯保証人 原則不要
貸付の流れ
貸付の流れは次の通りです。
1.相談
お住いの、または居住する予定の市町村福祉協議会、民生委員にご相談ください。
↓
2.申請書類の準備
ご相談後、借入申請をする場合は申請書類を準備してください。借入申込書は社会福祉協議会の窓口で入
手できます。
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3.民生委員の面接
民生委員が自宅を訪問して借入の必要性や世帯の状況を確認します。
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4.借入申請
必要な書類を整えて社会福祉協議会の窓口に提出します。
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5.貸付審査
申請書類は市区町村の社会福祉協議会から都道府県の社会福祉協議会に送られます。そこで貸付審査を行
い、貸付けの適否を決定します。
↓
6.貸付決定
貸付決定の連絡があります。審査結果次第では貸付されない場合もあります。
↓
7.契約
借用書を作成し、印鑑登録証明書を添付して提出します。
↓
8.資金交付
指定した金融口座に資金が振り込まれます。
・福祉資金は借入申請から貸付まで約1か月程度かかります。
・緊急小口資金は借入申請から貸付まで最短で5日程度かかります。
必要な書類
申請に必要な書類は次の通りです。
・借入申込書
・住民票の写し(世帯全員分、発行から3か月以内のもの)
・世帯の収入を証明する書類(源泉徴収票、所得証明書など)
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)
その他に連帯保証人・連帯借受人がいる場合や資金の種類によって提出する書類が異なります。詳細はお住いの社会福祉協議会でお問い合わせください。
まとめ
生活福祉資金の一つである福祉資金について説明してきました。申請を考えている方はご参考にしてください。
