生活福祉資金(不動産担保型生活資金)について

生活福祉資金は、融資が受けられない低所得世帯、高齢者世帯、障害者世帯の経済的自立と安定を図るための公的貸付けです。この記事では生活福祉資金の一つである不動産担保型生活資金について説明します。

目次

・不動産担保型生活資金とは

・貸付対象

・貸付内容

・担保措置

・契約終了

・返済

・土地の再評価

・貸付けまでの流れ

・必要な書類

・まとめ

不動産担保型生活資金とは

不動産担保型生活資金とは、現在居住用の不動産を所持する低所得の高齢者世帯が、これからもそこに住み続けるために、その不動産を担保にして生活資金の貸付けを受ける制度です。

 

不動産担保型生活資金には不動産担保型生活資金と「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」の2種類あります。

 

「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」は、保護の必要があると福祉事務所が認めた高齢世帯(要保護世帯)に貸付ける不動産担保型生活資金です。

貸付対象

貸付対象は次のいずれにも該当する世帯です。

 

〇不動産担保型生活資金

 

・借入申込者が単独で所有する不動産に住んでいること。ただし、同居の配偶者が連帯借受人になれば、配偶

 者と不動産を共有していても申し込み可能です。

・建物のみの所有、マンションは対象外になります。

・住んでいる不動産に利用権(賃借権など)や担保権(抵当権など)が設定されていないこと。

・借入申込者は配偶者、自分の親、配偶者の親以外と同居しないこと。

・世帯の構成員が原則として65歳以上であること。

・世帯の収入が市町村民税非課税程度または住民税均等割課税程度の低所得世帯であること。

・土地の評価額が1500万円以上(貸付条件によっては1千万円以上)であること。

 

〇要保護世帯向け不動産担保型生活資金

 

借入申込者が単独で概ね500万円以上の不動産に住んでいること。たし、同居の配偶者が連帯借受人に

 なれば、配偶者と不動産を共有していても申し込み可能です。

・建物のみの所有は対象外ですが、マンションは対象になります。

借入申込者は配偶者、自分の親、配偶者の親以外と同居しないこと。

住んでいる不動産に利用権(賃借権など)や担保権(抵当権など)が設定されていないこと。

世帯の構成員が原則として65歳以上であること。

・この制度を利用しなければ、生活保護を要する世帯であると福祉事務所が認めた世帯(要保護世帯)である

 こと。

貸付内容

貸付内容は次の通りです。

 

〇不動産担保型生活資金

 

・貸付限度額 土地の評価額の70%

・貸付期間  借受人の死亡時までの期間、または貸付元利金が限度額に達するまでの期間

・貸付月額  1か月30万円以内

・貸付金交付 原則として3か月ごとに交付

・貸付利率  年3%か「長期プライムレート(4月1日現在)」のいずれか低い方(長期プライムレートと

       は、金融機関が企業に1年以上貸付ける際の最優遇貸出金利です。)

 

〇要保護世帯向け不動産担保型生活資金

 

・貸付限度額 土地、建物の評価額の70%(集合住宅の場合は50%)

・貸付期間  借受人の死亡時までの期間、または貸付元利金が限度額に達するまでの期間

貸付月額  1か月、生活扶助額の1.5倍以内(生活保護費に基づき算出)

・貸付金交付 原則として毎月交付

・貸付利率  年3%か「長期プライムレート(4月1日現在)」のいずれか低い方。長期プライムレートと

       は、金融機関が企業に1年以上貸付際の最優遇貸出金利です。 

 

〇契約後の変更

 

契約後の変更は次に該当した場合可能です。

・医療費、住宅改造などの支出のために臨時に貸付金の増額を要するとき

・やむを得ない理由で毎回貸付金の額の変更を要するとき     

担保措置

担保措置は以下の通りです。

 

・不動産(土地、建物)に根抵当権を設定します。極度額は土地の評価額の8割を基準とします。

 

根抵当権とは、不動産を担保にし、借りられるお金の上限額(極度額)を設定して、その範囲内で繰り返しお金の貸し借りができる権利です。

 

・不動産(土地、建物)に「代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全のための仮登記」をします。

 

代物弁済予約とは、お金の代わりに物で返済する約束のことです。所有権移転請求権保全のための仮登記をすることで返済が滞った場合に代物弁済が受けられます。ただし、お金を借りる人から代物弁済を求めることはできません。

 

・推定相続人の中から連帯保証人を1名立てます。推定相続人がいない場合は必要ありません。

・推定相続人全員の同意が必要です。借受人は他の推定相続人の同意を得るよう努めなければなりません。

契約終了

契約終了は次のいずれかになります。

 

・借受人が死亡したとき

・都道府県社会福祉協議会が契約を解約したとき

・借受人が解約したとき

 

借受人が死亡し、同居の配偶者がいる場合は、次のすべての要件を満たすと承継契約手続きができます。

 

・配偶者が単独で相続し登記している

・引き続き住む予定である

・貸付元利金が限度額に達していない

返済

返済は契約終了後から始まります。

 

・借受人、連帯保証人は契約終了後から返済期限までに貸付元利金を一括して返済します。

・据置期間は3か月設定できます。設定した場合、返済期限は契約終了日の翌日から据置期間終了日の翌日まで

 です。

・返済期限が過ぎた場合は年3%(自治体によって年5%)の延滞利子が発生します。

土地の再評価

・土地の再評価は3年ごとに定期的に行われます。

・再評価にかかる経費は借受人の負担になります。

・再評価の結果、評価額が貸付限度額の算定時より1割以上減少したら、貸付限度額を減少割合に応じて変更

 します。

貸付までの流れ

貸付までの流れは次の通りです。

 

1.相談         貸付要件の確認      

2.不動産の事前評価   2週間程度     

3.貸付申請       市町村社会福祉協議会の窓口で申請     

4.不動産の正式評価   3週間程度

5.貸付審査

6.貸付決定       2週間程度

7.契約書作成

8.契約締結

9.登録手続き

10.資金の交付      不動産担保型生活資金:契約日の翌月から3か月ごとに金融口座に送金

             要保護世帯向け不動産担保型生活資金:契約日の翌月から毎月金融口座に送金

必要な書類

必要な書類は次の通りです

 

・借入申込書

・借入申込者、推定相続人の戸籍謄本

・世帯全員の住民票の写し

・世帯全員の収入がわかるもの(市町村民税非課税証明書または住民税均等割課税証明書)

・住まいの不動産(土地、建物)の登記簿謄本

・不動産の公図、位置図(動態図)

・地積測量図、建物平面図

・土地、建物の固定資産評価証明書

・推定相続人の同意書

・不動産鑑定評価依頼書(正式依頼分)

まとめ

不動産担保型生活資金について説明してきました。借入れを考えている方は参考にしてみて下さい。