配偶者の死亡、離婚などで経済的に苦しくなった母子家庭、父子家庭、寡婦を支援する制度の一つに母子父子寡婦福祉資金貸付金があります。この記事では母子父子寡婦福祉資金貸付金についてお伝えします。
目次
・母子父子寡婦福祉資金貸付金とは
・貸付対象
・資金の内容
・償還(返済)
・申請の流れ
・必要な書類
・まとめ
母子父子寡婦福祉資金貸付金とは
母子父子寡婦福祉資金貸付金とは、ひとり親家庭の方または寡婦の方の経済的自立と、扶養している児童の福祉の増進のために必要な資金を貸付ける制度です。
貸付対象
貸付対象は次の通りです。
1.母子家庭の母、父子家庭の父で20歳未満の子を扶養しているa~eのいずれかに該当する
a.配偶者が死亡・離婚し、現在結婚していない
b.配偶者の生死が不明、または配偶者から1年以上遺棄されている
c.配偶者が外国にいるため、扶養を受けることができない
d.未婚の母・父で現在結婚していない
e.配偶者が法令により拘禁されているため扶養が受けられない
2.母子家庭または父子家庭の20歳未満の子
3.父母のいない20歳未満の子
4.寡婦
f.かつて母子家庭の母で20歳未満の子を扶養していた(現在子を扶養していない場合、所得制限がある)
g.配偶者のいない40歳以上の女性(現在子を扶養していない場合、所得制限がある)
5.寡婦に扶養されている20歳以上の子
所得制限 前年の所得額が203万6千円以下の方が対象です。
資金の内容
資金は12種類あります。
資金の種類 | 貸付対象等 | 内容 |
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事業開始資金 |
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事業(例えば洋裁、軽飲食、文具販売、菓子小売業等、母子・父子福祉団体については政令で定める事業)を開始するのに必要な設備、什器、機械等の購入資金 |
限度額: 3,260,000円 団体 4,890,000円 据置期間:1年 償還期間:7年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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事業継続資金 |
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現在営んでいる事業(母子・父子福祉団体については政令で定める事業)を継続するために必要な商品、材料等を購入する運転資金 |
限度額: 1,630,000円 団体 1,630,000円 据置期間:6ヶ月 償還期間:7年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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修学資金 |
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高等学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院又は専修学校に就学させるための授業料、書籍代、交通費等に必要な資金 |
限度額: ※私立の自宅外通学の場合の限度額を例示 高校、専修学校(高等課程) 月額52,500円 高等専門学校 月額[1~3年] 52,500円 [4~5年]115,000円 専修学校(専門課程) 月額126,500円 短期大学 月額131,000円 大学 月額146,000円 大学院(修士課程) 月額132,000円 大学院(博士課程) 月額183,000円 専修学校(一般課程) 月額52,500円 (注1)高等学校、高等専門学校又は専修学校に就学する児童が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したことにより児童扶養手当等の給付を受けることができなくなった場合、上記の額に児童扶養手当の額を加算した額。 (注2)大学等修学支援法第3条に規定する大学等における修学の支援を受けることができる場合の限度額については、所定の額から当該支援の額に相当する額を控除した額とする。 (注3)大学等修学支援法第3条に規定する大学等における修学の支援を受けた場合、その相当額について当該支援を受けた日から6ヶ月以内の償還義務あり。 貸付期間:就学期間中据置期間:当該学校卒業後 6ヶ月 償還期間: 20年以内 専修学校(一般課程)5年以内 利率:無利子 ※親に貸付ける場合、児童を連帯借受人とする。(連帯保証人は不要) ※児童に貸付ける場合、親等を連帯保証人とする。 |
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技能習得資金 |
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自ら事業を開始し又は会社等に就職するために必要な知識技能を習得するために必要な資金(例:訪問介護員(ホームヘルパー)、ワープロ、パソコン、栄養士等) |
限度額: 【一般】月額 68,000円 【特別】一括 816,000円 (12月相当) 運転免許 460,000円 貸付期間:知識技能を習得する期間中5年をこえない範囲内 据置期間:知識技能習得後1年 償還期間:20年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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修業資金 |
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事業を開始し又は就職するために必要な知識技能を習得するために必要な資金 |
限度額: 月額 68,000円 特別 460,000円 (注)修業施設で知識、技能習得中の児童が 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したことにより児童扶養手当等の給付を受けることができなくなった場合、上記の額に児童扶養手当の額を加算した額 貸付期間:知識技能を習得する期間中5年をこえない範囲内 据置期間:知識技能習得後1年 償還期間:20年以内 利率:※修学資金と同様 |
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就職支度資金 |
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就職するために直接必要な被服、履物等及び通勤用自動車等を購入する資金 |
限度額: 一般 105,000円 特別 340,000円 (通勤のための自動車購入の場合) 据置期間:1年 償還期間:6年以内 利率: ※親に係る貸付けの場合 (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% ※児童に係る貸付けの場合修学資金と同じ |
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医療介護資金 |
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医療又は介護(当該医療又は介護を受ける期間が1年以内の場合に限る)を受けるために必要な資金 |
限度額: 【医療】 340,000円 特別 480,000円 【介護】 500,000円 据置期間:医療又は介護終了後 6ヶ月 償還期間:5年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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生活資金 |
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知識技能を習得している間、医療若しくは介護を受けている間、母子家庭又は父子家庭になって間もない(7年未満)者の生活を安定・継続する間(生活安定期間)又は失業中の生活を安定・継続するのに必要な生活補給資金 |
限度額: 【一般】月額 108,000円 【技能】月額 141,000円 母子家庭の母又は父子家庭の父が生計中心者でない場合並びに現に扶養する子のない寡婦及び現に扶養する子の生計を維持していない寡婦に係る貸付は、月額72,000円 (注1)生活安定期間の貸付は、配偶者のない女子又は男子となった事由の生じたときから7年を経過するまでの期間中、月額108,000円、合計259.2万円を限度とする。 (注2)生活安定期間中の養育費の取得のための裁判費用については、1,296,000円(一般分の12月相当)を限度として貸付けることができる。 (注3)3月相当額の一括貸付を行うことができる。 貸付期間:
償還期間: (技能習得)20年以内 (医療又は介護)5年以内 (生活安定貸付)8年以内 (失業) 5年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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児童扶養手当受給相当まで収入が減少した者の生活を安定・継続するのに必要な生活補給資金(児童扶養手当を受給している者は除く) | |
限度額:児童扶養手当の支給額 ※令和5年度は月額44,140円 貸付期間:原則3ヶ月以内 (都道府県等が適当と認める場合は1年まで延長可) 措置期間:貸付期間満了後6ヶ月 償還期間:10年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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住宅資金 |
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住宅を建設し、購入し、補修し、保全し、改築し、又は増築するのに必要な資金 |
限度額: 1,500,000円 特別 2,000,000円 据置期間:6ヶ月 償還期間: 6年以内 特別7年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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転宅資金 |
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住宅を移転するため住宅の貸借に際し必要な資金 |
限度額:260,000円 据置期間:6ヶ月 償還期間:3年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
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就学支度資金 |
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就学、修業するために必要な被服等の購入に必要な資金 |
限度額: ※高校以上は自宅外通学の場合の限度額を例示 小学校 64,300円 中学校 81,000円 国公立高校等 160,000円 修業施設 282,000円 私立高校等 420,000円 国公立大学・短大・大学院等 420,000円 私立大学・短大等 590,000円 (注1)大学等修学支援法第8条第1項の規定による入学金の減免を受けることができる場合の限度額については、所定の額から当該減免の額に相当する額を控除した額とする。 (注2)大学等修学支援法第3条に規定する大学等における修学の支援を受けた場合、その相当額について当該支援を受けた日から6ヶ月以内の償還義務あり。 据置期間:当該学校(小学校の場合は中学校)卒業後 6ヶ月 償還期間: 就学 20年以内 修業 5年以内 利率:※修学資金と同様 |
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結婚資金 |
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母子家庭の母又は父子家庭の父が扶養する児童及び寡婦が扶養する20歳以上の子の婚姻に際し必要な資金 |
限度額:310,000円 据置期間:6ヶ月 償還期間:5年以内 利率: (保証人有)無利子 (保証人無)年1.0% |
引用:「内閣府男女共同参画局」ホームページ
・事業開始資金、事業継続資金、技能習得資金、医療介護資金、生活資金、住宅資金、転宅資金、結婚資金は
連帯保証人を立てた場合に無利子なります。立てない場合は年1%の利子が付きます。
・修学資金、就業資金、就職支度資金、就学支度資金については就学・就職する子も連帯借受人として契約の
当事者になり、返済の義務を負います。なお、連帯保証人がいれば親でなく子を借受人にできます。
・連帯保証人の条件は①申請者と生計が別②同じ都道府県内または近隣に住む60歳未満の親族③保証能力があ
ることです。
償還(返済)
償還(返済)は据置期間の経過後、償還期間内に行います。資金によって据置期間、償還期間は異なります。
償還期間が過ぎると違約金年3%が加算されます。
償還方法は、①月賦(毎月)②半年賦(年2回)③年賦(年1回)のうちいずれかで、指定の金融機関窓口及びコンビニ店頭の現金払いのほか口座振替を選択できます。(原則として口座振替の自治体もあります。お住いの自治体でご確認くだい。)
申請の流れ
申請の流れは次の通りです。
1.市区町村に相談
2.申請書類を提出
3.都道府県の書類審査 審査の結果、貸付けされないこともあります
4.貸付けの決定後 借用書と印鑑証明書を提出
5.貸付け決定の翌月に資金の振り込み
申請から貸付けまでおよそ2か月かかります。
必要な書類
必要な書類は次の通りです。
・申請書
・戸籍謄本(おおむね3か月以内に発行されたもの)
・所得証明書及び住民税納税証明書
・連帯保証人の所得証明書(連帯保証人を立てる場合)
・個人番号がわかるもの(マイナンバーカードなど)
・その他資金の種類により必要な書類(入学許可証の写し、事業計画書、収支計画書など)
まとめ
母子父子寡婦福祉資金貸付金について説明してきました。ご利用をお考えの方は参考にしてみて下さい。